ゲームクリエイターになりたい!
そう思うようになってから早10年程経ちました。昨年は学友を募ってゲーム制作などやってましたが、難しいもので完成までこじつけることができませんでした(作っている途中でモチベが保てなくなった)。
これは、そんなゲーム制作になにか苦い経験がある人や絶賛個人ゲームを作っている人の心に、なにかトラウマじみた思い出や非情な現実を訴えかけてきたり訴えかけてこなかったりするゲーム………(?)
不穏な出だしと簡単なあらすじ
人と関わるのが苦手な専門学校生の主人公"蟹井"が、蟹井のゲーム制作に関心を示す"熊手"と意気投合し、就職をせずにインディーゲームクリエイターを目指すというストーリー。
"就職をせずにインディーゲームクリエイターを目指す"という不穏な文言からある程度察しはつきますが、かなり重めのストーリーです。2時間程でサクッとやれるボリュームではありますが、覚悟してね。
なお僕はSteamでDEMO版がリリースされた際に初めてこのゲームの存在を知ったのですが、あらすじの重みからプレイを忌避してしまいました。今にして思えばやらなくて正解だった気がします…。(やってたら製品版をやらなかった可能性大)
このゲームといえば…
このゲームの特徴は、13章で構成されたアドベンチャーパートの1章ごとに、ちょっとしたアクションゲームパートが挟まれることですね。これによってSteamレビューではテンポが悪いとの不評をもらっているようですが、僕は結構好きです。ゲームパートからアドベンチャーパートへの遷移で、主人公の蟹井がプレイしていたことが伝わってくるのは、表現として可愛げを感じました。アクションゲームパートのクリアの是非に関わらずアドベンチャーパートが始まってくれるのも、ストーリー重視の構成をブレさせない措置だと思いました。
また、どことな〜く、印象的なキャッチコピーで有名なRPGを感じさせるカワイイドット絵が用いられているのも個人的に大好きです。(両パート全編ドット絵です…!(畏怖))
素直な文句を言わせてくれ
※注意※ 以下、物語のネタバレ&批評を含むため、問題のない方のみ進みたまへ…
僕が感じたこのゲームの主題は、"インディーゲーム制作って難しいね"ということと、"本音を隠してては何も始まらないぞ!"ということです。
このゲームは、専門学校在学中及びゲーム制作開始時辺りの"過去"と、ゲーム制作に頓挫する"現在"を、章ごとに行き来しながら物語が進みます。物語を通してプレイヤーは、"蟹井が熊手と交わした約束"と、プロローグにも通じる、"熊手に(あるいは自分にも)隠していた本音"を知ることになります。そして物語の帰着は、蟹井が熊手にゲームを通じて本音を伝えることで、一度解消してしまったゲーム制作のタッグとしてのよりを戻すというところ。
この物語を一通り咀嚼して出た感想はひとえに、「結局何が言いたかったんだってばよ?」です。
僕の考えるこの作品の主題に沿う形で考えますが、この作品では実際にゲームを作っている描写は一切ありません。ファミ通やSteamのあらすじ説明ではさも個人ゲ制の門は狭くアルバイトの時間が増えるばかり…と、インディーゲーム制作の難しさを訴えるような触れ込みになっていますが、このゲームからそのような印象は全く受けません。経験のない人からしたら、どうやら難しいようだがやったことがないから実感が湧かない状態でのプレイになるかと思います。
また、主人公の蟹井が熊手に、"また一緒にゲームを作りたい"という本音を打ち明けるシーンがありますが、主人公がその一歩を踏み出したきっかけの表現が少なく、納得感に欠けました。
スタッフロールとその後について
激エモ展開が始まります。熊手が"新しい居場所"での生活に馴染んでいることから感じた孤立感を苦に飛び降り!?な展開から後日熊手が単身蟹井宅へ乗り込みます。そこには、前と変わらない二人の作業部屋風景と意味ありげに開け放たれた窓…。(そして唯一のアドベンチャーパート内のキャラクター操作タイム)
その後、舞台は夜へと移り変わりアクションゲームパートへ。ステージは障害物のない平坦な道で、コメントが表示される吹き出しのみが設置されています。そこには熊手に打ち明けられなかった想いと、それを後悔する念、そして最後には、また一緒にゲームをやり直せないかという本音が待っていました。ここでアクションゲームパートのみに存在する、ゲームをやり直す操作(A+B)が要求されるエモーショナル展開!!!!プレイしてて胸が苦しくなりました。なお、最後のコメントが表示されて割とすぐにやり直しボタンのガイドが出てきたのが、なんとなく早すぎる気がしたので、今後のアップデートで修正されるとより良いんじゃないかなぁと個人的に思っています。もう少しどうすればいいか悩みたかった!
スタッフロールでの表記とその後の会話から、今までのお話が全て二人が作ったものだという流れもアツい…!
おわりに。
インディーゲーム制作をテーマにされているということで目を引いた作品でした。序盤の章でのつかみが良かった分、中盤終盤の展開の速さと説明の不明瞭に振られて、ラストの演出で嬉しくなり、個人的には、終わり良ければ…といった感想になりました。
制作者の方並びにファンの方には、大変お目汚しな落書きとなってしまったことをお詫び申し上げます。個人的なことになりますが、インディーゲーム制作者を目指す半端者として、プレイ中の僕はずっと蟹井でした。新しいゲームをありがとうございます。
それでは………